紅蓮の彼岸

ようやく完成致しました。四季連作・秋、正式タイトルは「紅蓮の彼岸」です。画像は最終データとしてPhotoshopで原画の色に近づける為に補正をしています。

コントラストを上げるために細部を濃いめの絵の具で描き込んでいきました。空の上部は紫寄りに調整。夜の気配を感じさせると共に、紅葉との色相差を付けて同化を防ぐ狙いです。

画面下部の草原は手前を暗く落としています。画面上部と下部の明度を下げた事で、中央の光源となる山間に沈む夕陽を強調し、空間の距離感や空の抜け感が演出できたと思います。

色彩設計はパズルのようなもので、全体のトーンや隣り合う要素との兼ね合いから逆算するようにして答えを導きだしていくという考えです。そう言うと緻密な計算で描いているように聞こえますが、自分の場合は計算半分アドリブ半分という感じです。

透明水彩の作業が済んだら調子を整える為に少し鉛筆で加筆した後、仕上げに不透明水彩でハイライトを中心に加筆を行います。全体の面積からすると些細なものですが、これをやるとやらないとでは仕上がりに明確に差が出ます。瞳にキャッチライトを加えると途端に表情が活き活きして見える、というのはよく言われる事ですよね。

今回は思った以上に時間がかかってしまいましたが、どうにかイメージに近い形に仕上げられたかな、と思います。不器用なりに手数を掛けて描いていけば何とか形になってくれるものですね。

長々と過程を紹介してきましたが、ここまでお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございます。一人でコツコツと描いていくのはしんどいところもありますが、見てくれている人がいると思うと、大変励みになります。どこか少しでも参考にしていただけたら幸いに思います。