「死想-Memento Mori-」
「死想-VANITAS-」
現在開催中の鉛筆画展「graphiteノ無限回廊」に出展している作品です。
今回は二枚で対になる作品として構想しました。
テーマはタイトル通り「メメント・モリ」と「ヴァニタス」。
共に「死」にまつわる概念ですが、個人的な解釈として前者は「いずれ訪れる死を前に悔いのないように生きる」といったある種前向きな意味合い、後者は「死の前ではいかなる名声や財産も意味をなさない虚飾である」という警句の意味合いを持つように思っています。
似て非なる概念を表現する意図で、対比構造を意識してモチーフを組みました。
今回は鉛筆画なので色は無く、その分画面の情報量や質感の描写に重点を置いて描いています。
普段から下絵として鉛筆で描き込んだ状態からの着彩を行っていますが、鉛筆のみで「作品」として魅せるという事は想像以上に難しいものでした。
情報量が多い画面を明度のみで構成しなければならないため、コントラストの幅を意識して8B〜2Hの鉛筆を使用しています。
今回の企画は実力派の作家が集まり、鉛筆のみで表現された作品を展示するという他に類を見ないものですが、実際に拝見すると作家の個性によって様々な表現がみられます。
身近な「鉛筆」という画材が持つ可能性の奥深さを実感出来る大変見応えある展示となっておりますので、お近くの方は是非会場にてご覧になってみて下さい。
よろしくお願いいたします。